今さら聞けない!? 電子帳簿保存法対応
近年、よく耳にする「電子帳簿保存法」。
対応が必要なことは知っていても、「実際はどんな対応が必要なのか正直わからない!」なんてことはございませんか?
理解しておかないと、知らないうちに法律違反になってしまうかもしれません。
そうならないように今回の法改正で理解が必要なポイントを抑えておきましょう。
電子帳簿保存法に違反すると…
「電子帳簿保存法」に違反した場合の罰則規定
書類が不正とみなされた場合、重加算税(10%加算)が課される⁉
会社法違反(976条・帳簿や書類の記録や保存に関する規定)となった場合には100万円以下の過料を科される⁉
また、個人事業主の場合には青色申告の取消により優遇措置がなくなり推定課税されることに…
これらの罰則が科せられる可能性があるため、しっかりとポイントを理解して法律に則った適正な文書の電子化が必要になります。
そもそも電子帳簿保存法って?
電子帳簿保存法とは、正式名称「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います。
これまで原則紙で保存することが義務付けられていた帳簿や決算書、請求書などの国税関係帳簿・書類を、一定の条件を満たせば電子化して保存することを認めるという法律です。
元々は帳簿や書類を保存する際に生じる納税者のコスト、事務負担を軽減するために電子化が進められてきました。
「電子保存の義務化」電子帳簿保存法改正
これまで「電子データ」は紙に出力して適正に保存されていれば問題はありませんでした。
これが2024年1月からは電子取引における電子データの保存が義務化されることになります。
昨今、電子帳簿保存法の話題をよく耳にする理由は、この法改正が行われるためです。
2024年から電子取引における電子データを紙出力して保存することはNG!
2年間の猶予
当初、「電子保存の義務化」は2022年1月から開始を予定しておりました。
しかし、当時は改正が発表されてから施行までの期間が短く、多くの企業で対応が間に合わないのが実情でした。
そのため、令和4年度税制改正大綱にて宥恕(ゆうじょ)措置(経過措置)が取られることになり、2022年1月~2023年12月までの2年間、猶予期間が設けられました。
言い換えると、この期間の間に改正電子帳簿保存法に対応しなければならないということになります。
2023年12月までに電子帳簿保存法改正の対応が必要!
どんな対応が必要?
「電子取引」の主な保存要件
電子保存には「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つが必要です。
真実性の確保
保存されたデータが改ざんされていないことが証明できるように、下記のいずれかの項目を満たす必要があります。
発行者側で認定タイムスタンプを付与した後に、書類の受け渡しを行う
書類の受領後遅滞なく認定タイムスタンプを付与するとともに、保存を行う者、または監督者の情報を確認できるようにする
書類の訂正や削除を確認できるシステム、または書類の訂正/削除ができないシステムを利用する
書類の訂正や削除に関する事務処理規定を作成し、それに沿って運用する
可視性の確保
保存されたデータを検索・表示できるように、下記のすべての項目を満たす必要があります。
見読可能装置の備付け
電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及び操作説明書の備付け、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにする
システム概要書の備付け
電子計算機処理システムの概要書を備え付ける
検索機能の確保
1)日付、取引金額、取引先での検索ができる
2)日付と金額については範囲指定して検索ができる
3)2つ以上の項目を任意に組み合わせ検索ができる
※税務職員による質問検査権に基づく記録データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合、2)及び3)の要件は不要
以上の要件に対応する必要があり、これらを満たすためには自社の運用方法の検討、その運用にあったシステムや機器の用意が必要となります。
電子データの保存は、ほんとに電子取引部分だけで良いの?
前述した通り、電子保存が義務化されたのは今のところ「電子取引における電子データ」のみです。その他の書類については、紙で保存しても適正に保存されていれば問題はありません。
しかし、その場合、書類によって紙で保存するもの、電子データで保存するものと別れてしまい、管理が煩雑になってしまいます。
また、今後の改正によって他の書類も電子データの保存が義務化される可能性も否定できません。
そのため、今回の改正に合わせて書類の電子データの保存方法を確立しておくことが推奨されます。