JFEシステムズ株式会社様
システム資産まるみえツール〈REVERSE PLANET〉 お客様事例
~ REVERSE PLANET 導入により、システム改修の変更影響調査時間が約25%削減できました ~
JFEシステムズ株式会社は、長年、JFEスチールの基幹システムである「J-Smile®」の開発・構築に携わっています。その改変作業などにおけるシステムへの影響調査ツールとしてNCS&Aの「REVERSE PLANET®」を導入されました。導入の経緯、そして活用状況について、執行役員 東京事業所長 杉原 明様、販生流システム開発部長 渡邉 崇様、同部基盤グループ長 和泉光雄様、同部 清水 優様に詳しくお話を伺いました。
JFEグループのユーザー系情報システム会社
── JFEシステムズ株式会社について、お教えください。
JFEシステムズは、2003年に川崎製鉄と日本鋼管が統合して発足したJFEグループのユーザー系情報システム会社で、売上は約400億円、社員数は約1500人です。売上の半分はJFEスチールグループ向けですが、半分はグループ外のクライアントとなり、金融、製造業、食品業界など多岐に渡っています。
事業内容はビジネスシステムインテグレーション、プロダクトベース・ソリューション、インフラソリューションなど情報システムのインテグレーションおよび運用・保守などとなっています。
JFEスチールグループ向けの業務としては、JFEスチールの基幹システムである「J-Smile」の開発・構築等に加え、今後の取り組みとしては、JFEスチールが製鉄所のシステムを刷新するプロジェクトに2016年より取り組んでいます。製鉄所は東と西にありますが、統合前、それぞれに東と西に製鉄所を持っていました。ですので、計4つの製鉄所があり、その製鉄所ごとに40~50年、独自のシステム開発を行ってきた歴史があります。そのシステムを統合しようという非常に大きなプロジェクトが動いており、当社もプロジェクトに携わっています。
今後とも信頼される真のパートナーを目指し、情報システムを通じてお客様に新たな価値と満足を提供する努力を続け、事業を展開していきます。
影響調査を人間系ノウハウでの実施ではなく、機械的に実施したい
「障害発生などをなくし、品質の向上にも務めて行くためのツールが必要でした」と杉原 明様
── NCS&Aの「REVERSE PLANET」を導入する前は、どのような課題があったのでしょうか。
JFEシステムズでは長年、JFEスチールの基幹システムである「J-Smile」の開発・構築に携わっています。2011年に「J-Smile」における販売・生産・流通システムをビジネスの変化により柔軟に対応できるよう、従来からのCOBOL言語を利用したシステムから、新たにJava言語を利用したシステムへのマイグレーションを実施しました。マイグレーション実施後も、システム全体の継続的なメンテナンスや改変作業を行っています。
その改変作業にあたっては、お客様の変更要件によるシステムへの影響調査を実施してきました。「J-Smile」にはJavaとCOBOLの両方の言語が使われていますから、以前はスタッフが分担してJavaはJavaで、COBOLはCOBOLでソースの検索を手作業で行い、調査を実施していました。しかし、人海戦術的な手法で非効率であり、特定項目の変更に対する影響をソース検索した際、もれが出てしまうこともありました。変更の影響がきちんと把握できないと、障害の発生につながりかねません。
障害発生などをなくし、品質の向上にも務めて行くためには、巨大なシステムが相手ですので、影響調査を人間系のノウハウで実施するのではなく、機械的に実施する方法を探し始めました。
Java、COBOLともに解析ができる「REVERSE PLANET」
── システム可視化ツールである「REVERSE PLANET」を知ったきっかけをお教えください。
今回の目的は「J-Smile」における影響調査でしたので、JavaとCOBOLの両方に対応したツールが必要でした。おつきあいがあるベンダー各社に声をかけたり、ネット検索で調べましたが、JavaかCOBOLのどちらかができるツールはたくさんありましたが、両方に対応したものは余り多くありませんでした。ちなみに「REVERSE PLANET」はネット検索で見つけ、NCS&Aに問い合せました。
── 導入にあたって選定要件についてお教えください。
最終的に当社の目的を達することができるツールとして「REVERSE PLANET」を含む2つに絞り、TOCの結果や価格などを比較検討しました。目的には品質向上、ツール導入による業務の効率化もありましたので、トータルで判断して、目的に添ったツールであるかを検討しました。目的に添ったツールとは下記の2項目になります。
(1)Java、COBOLともに解析ができるもの。さらにJavaに関しては「J-Smile」フレームワークに沿ってカスタマイズできるもの。
(2)影響調査方法として、影響調査対象のものを利用している資産を調査できること、影響あるものを調査できるツールであること。 ※アプリケーションの構造把握・問題点の把握を目的とした解析ではなく、あくまでも影響調査のためのツールであること。
──「REVERSE PLANET」を導入決定された理由をお教えください。
Java、COBOLともに解析が可能であることが一番の理由です。
そして、カスタマイズすれば、Java、COBOLともに「J-Smile」フレームワークに沿った解析ができることに加え、フローの概要図などCOBOLの解析機能がとても充実していることを評価しての導入となりました。
「Java、COBOLともに解析が可能であることが一番の理由」と導入に携わった渡邉崇様
Javaに関しては「J-Smile」フレームワークに沿ったカスタマイズを実施
──「REVERSE PLANET」の導入プロジェクトについてお教えください。
2016年1月~2月に対象資産の洗い出しを行い、2月~3月にツールの利用方法検討、同時進行でツールのカスタマイズを行い、4月~5月に利用方法に応じたツールの検証を実施し、6月に導入を開始しました。
COBOLに関しては標準機能でほとんど対応でき、あまりカスタマイズの必要はありませんでした。
Javaに関してはいろいろな書き方ができる言語ですので、「J-Smile」フレームワークに沿ったかたちでのカスタマイズが必要で、どこまでやるかについての調査はたいへんでした。
今回の導入プロジェクトを担当する販生流システム開発部には和泉、清水が所属する基盤グループとアプリケーションごとに4つのグループがあります。
各アプリケーションについては、グルーブごとに管理していますので、最新ソースを置く場所、どのライブララリを参照すると最新ソースがわかるかなど、運用面も含めての検討が必要でした。
基盤グループが全体のルールを決め、各グールプの窓口となるメンバーに伝えて周知徹底し、アプリーケーション側のニーズを引き出して開発に反映していきました。
── 導入にあたって苦労されたことはありますか。
「REVERSE PLANET」に取り込むための対象資産の整理が必要でしたね。
COBOLに関しては、メンバーの重複などルールの決定や標準化に苦労しました。
Javaに関しては、jar部品の実際のソースの提供も必要だったため、対象jar部品の実際のソースの調査がたいへんでした。
同様にカスタマイズ要望の洗い出しを行いました。
COBOLは標準機能での紐づきでほとんど問題ありませんでした。
Javaについては、「J-Smile」フレームワークに沿って紐づけていけば問題ないと考えていましたが、アプリケーションによってはいろいろな実装を行っているため、カスタマイズ要望の洗い出しに時間をかけました。
「J-Smile」向けREVERSE PLANETのシステム構成図
「Javaに関してのカスタマイズをどこまでやるかについての調査をしました」和泉光雄様
影響調査時間が約25%短縮
── 現在、「REVERSE PLANET」をどのようにお使いですか。
影響調査依頼で使われているのが「ワードサーチャー機能」です。何かが追加となる場合に、ソースを検索し、ヒットした該当するソースをそのまま閲覧しています。この機能を使うことが多いと思います。
カスタマイズした部分では、COBOLではジョブからプログラムの紐付けをしてみる影響調査が使われています。
「REVERSE PLANET」のツールでジョブの概要図をすぐに出せますので、障害時に状況を把握するために使用しています。
「J-Smile」特有の企業間伝送のところではスケジュールを取り込んでいるので(A-AUTO情報を取り込む)、各グループで使用しています。
Javaの場合、jar部品は70個くらいが数珠繋ぎになっているのですが、それを見ようとするとパソコンでは1つか2つの部品しか見えません。すべてを見ようとすると何十人もが同時に見なければならないのですが、「REVERSE PLANET」ではサーバーに全ソースの最新ソースがあり、一人で見てもすべての結果を見ることができるので、非常に使いやすいと思います。実際に調査のために検索を行う場合は、まず最新のソースのダウンロードが必要になります、時間もかかります。それが「REVERSE PLANET」を見れば最新ソースが揃っていますのでとても便利です。当初、想定していなかった便利さですね。
また、ホスト操作に慣れていない技術者がプログラムやジョブを確認する際、本番環境であるホストにログインしなくて済むのが助かります。また、同様の理由から新たに担当することになった技術者の教育にも使えます。
その他の使い方を下記に列挙しておきます。
・検索結果をCSVで一覧化できるので、エビデンスが残しやすい。
・グループや担当分野がブロックをまたいでいる場合の影響調査に向いている。
・管理サーバーからローカルPCへの最新ソースの取り込み(チェックアウト)をしなくてよいので、時間短縮につながる。
・TSO画面でできないこと(2バイト文字の検索)ができる。
── 「REVERSE PLANET」の導入効果について教えてください。
(1)影響調査時間の短縮につながり、調査時間が約25%削減できた。
導入以前には全アプリケーションを調査する際、ソース管理サーバーから全ソースをチェックアウトする作業が必要でしたが、現在では、「REVERSE PLANET」が最新ソースを取り込んでいるので、時間短縮につながっています。全体の調査時間としては、約25%の時間短縮を実現できました。
(2)アプリケーションのバージョンアップの効率化
導入目的としては、アプリケーションの効率化、調査目的での導入でしたが、「J-Smile」のアプリケーションのバージョンアップを行う際、いまのアプリケーションの非互換項目の検索ができたり、アプリケーション全体を見ることができますので、効率化につながっています。これは当初想定していなかった効果です。
「全体の調査時間としては、約25%の時間短縮を実現できました。」と清水 優様
「J-Smile」以外への適用システムの拡大を検討
── 「REVERSE PLANET」の今後の使い方についてお教えください。
現時点では適用システムの拡大を考えています。「J-Smile」以外の経営管理系や統合現品・出荷システムに適用し、Java/COBOLのスクラッチ開発のソース類を一元的に管理できるようにしていきたいと考えています。
既存資産への適用では、ルールに合致しない記述ではDBとソースが紐づかないケースがどうしても出てきてしまい、不十分な検索結果となってしまいます。そこで開発時から「REVERSE PLANET」をツールとして導入して、すべて標準に沿ったコーディングで100%の回答ができる状態にすれば、維持管理にかかる時間・コストが大幅に削減できるのではないかと考えています。
また、まだすべての機能を使いこなしてはいませんので、それらを使いこなしていくことと同時に、部門内でも担当内容によって使用頻度にバラつきがあります。最新のソースをすべて見ることができるという便利さだけでも知ってもらい、さらに活用するメンバーを増やしていきたいと考えています。
── 「REVERSE PLANET」並びにNCS&Aへのリクエスト・期待がありましたらお聞かせください。
Javaに関する機能については、カスタマイズのリクエストを取りまとめる時にも、その言語の自由度から難しさを実感しましたが、やはり今後もJavaの機能の充実を図っていただきたいと思います。現状として、ここから先は人の手でという部分が残っていますので、この部分が機械化できるようお願いしたいと思います。
今後とも「REVERSE PLANET」のさらなる開発とご提案、サポートに期待しています。
JFEシステムズ様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※「REVERSE PLANET®」はNCS&A株式会社の登録商標です。
◎JFEシステムズ株式会社
創業/1983年9月1日
本社/東京都港区芝浦1丁目2-3 シーバンスS館(受付18F)
URL https://www.jfe-systems.com/
※ 取材日時 2017年10月
※ 取材制作:カスタマワイズ