楽天カード株式会社様

システム資産まるみえツール〈REVERSE PLANET〉 お客様事例

~ REVERSE PLANET を使ったクレンジングで基幹プログラム全体の3割を削除できました ~

楽天カード株式会社は、2017年7月、クレジットカード業務の基幹システムを全面刷新しました。その刷新プロジェクトにおけるシステムへの影響調査ツールとしてNCS&Aの「AAA」「REVERSE PLANET®」を導入されました。導入の経緯、そして活用状況について、執行役員 システム戦略・開発・運用部長 小林義法様、ともにシステム開発部マネージャーである、コアシステム開発グループの田中涼介様とシェアードリソース管理グループの津端裕貴様、運用改善グループの森田訓章様に詳しくお話を伺いました。

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日本版顧客満足度指数調査において、9年連続クレジットカード部門で第1位

── 楽天カード株式会社について、お教えください。

楽天カード株式会社は、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを目指す楽天グループのFinTechセグメントの一翼を担うべく、2005年7月より「楽天カード」を発行しています。

カードのお申し込みをWebに限定することで大幅なコストダウンを可能とし、その分高いポイント還元を行うことでお客様に支持されています。さらに貯まったポイントは楽天グループ内のサービスだけでなく街なかの加盟店でも使えることなど、お客様のニーズに合ったサービスが高く評価され、サービス産業生産性協議会による日本版顧客満足度指数調査において、9年連続クレジットカード部門で第1位を獲得しています。

今日でも非常に高い成長率を実現しており、年間のショッピング取扱高は6兆円を超え、会員数は1,500万人を突破しました。(2018年1月時点)

2017年7月、クレジットカード業務の基幹システムを全面刷新

「基幹システムの全面刷新にあたり、資産整理が必要でした」と小林義法執行役員

── NCS&Aの「REVERSE PLANET」を導入する前は、どのような課題があったのでしょうか。

楽天カードでは、2017年7月、クレジットカード業務の基幹システムを全面刷新し、本格稼働を開始しました。これにより、事業の拡大スピードに合わせた柔軟な運用と、長期的に会員が安心してクレジットカードを利用できる環境を整えることができました。

この基幹系システムの刷新プロジェクトは、メインフレームで稼働する基幹系システムをオープン環境に移行するもので、2014年から取り組んできました。この以前のシステムには、業務閉塞などの理由により残骸として残っているメインフレーム資産があり、それを調査し整理する必要がありました。

その頃の調査方法はメインフレームの検索ツールを使用して、複数のプログラム言語に対して個別に調査をしていました。調査はソースコードに対して必要となるキーワードで検索を行い、アウトプットされた検索結果を読み解いていく必要がありました。Excelで作成されたジョブネット等、情報も分散していますので、その関連を判断するのは担当者の力量に負うところが大きかったと思います。新たな関連が出て来た場合は、また同様に調べる必要があり、それが意味あるものなのかを一つ一つ調べていかなくてはならなかったのです。検索自体も1回30分程度かかりましたので、もう1度検索をするとさらに30分が必要でした。

移行プロジェクトにおいて、過去に積み上げてきた膨大なプログラム、データ群から不要資産を絞り込む作業は工期圧縮、環境移行期間の短縮に直結する課題でしたので、その調査時間・コストを下げる方法について模索をしていました。また、当社はシステム開発を内製で行なっていますので、いろいろなサービスを追加していくにあたっては、影響調査を実施して、その上で実装していくことが必要になります。そこでの開発効率を上げたいという考えもありました。

解析精度の高さが「REVERSE PLANET」導入の決め手

── システム可視化ツールである「REVERSE PLANET」を知ったきっかけをお教えください。

いまお話ししたような懸念は以前から持っていましたし、何かツールはないかと考えていました。ちょうど移行プロジェクトを控えている時期でもありましたので、この時期に開発効率を上げられる取り組み、ツールの導入を行なっておけば、のちのち大きな効果につながるのではないかと考え、具体的な検討を始めました。

購買部門に確認して、こうしたサービスを提供する会社がないかを探すと同時に、キーワードでWeb検索を行い、個別のポータルサイトを拝見して探していきました。システム可視化ツール「REVERSE PLANET」、並びにシステム資産評価システム「AAA」はNCS&Aのウェブサイトを見て知りました。このときに導入候補として上がったのは「REVERSE PLANET」を含む3つでした。

上記の比較検討を行い、「REVERSE PLANET」を導入決定した理由は、下記の通りです。特に(2)の解析精度の高さが一番の決め手となりました。

(1)当社利用プログラム言語を製品標準機能の範囲で網羅しており、カスタマイズの工数・工期も他社製品と比較して現実的であった。
(2)プログラムの関連性による静的解析のみならず、実行ログとの紐付けによる動的解析ができ、他社製品と比較して棚卸精度が高く、充実していた。
(3)メインフレーム資産のみならず、オープン環境に対応が可能という将来性があった。

── 導入にあたって選定要件についてお教えください。

3社のシステムに対して、下記の要件、そしてコストで比較検討しました。

(1)当社の要件を満たすカスタマイズ機能追加工程を織り込んだ上で、速やかに導入ができること。
(2)当社で利用するプログラム言語を網羅していること。
(3)当初はメインフレームに対する開発・調査となりますが、移行プロジェクト完了後のオープン系システムになっても継続して対応できる、将来性があること。

──「REVERSE PLANET」を導入決定された理由をお教えください。

上記の比較検討を行い、「REVERSE PLANET」を導入決定した理由は、下記の通りです。特に(2)の解析精度の高さが一番の決め手となりました。

(1)当社利用プログラム言語を製品標準機能の範囲で網羅しており、カスタマイズの工数・工期も他社製品と比較して現実的であった。
(2)プログラムの関連性による静的解析のみならず、実行ログとの紐付けによる動的解析ができ、他社製品と比較して棚卸精度が高く、充実していた。
(3)メインフレーム資産のみならず、オープン環境に対応が可能という将来性があった。

「解析精度の高さが導入の決め手になりました」と森田訓章様

「REVERSE PLANET」を使ってのクレンジングで約3割のプログラムを削除

──「REVERSE PLANET」の導入プロジェクトについてお教えください。

2014年11月に導入プロジェクトを開始し、12月にはメインフレーム版「REVERSE PLANET」の本番導入が行われるとともに「AAA」の棚卸結果が納入されました。そして2015年1月からは予定通り当社内でクレンジング作業を始めることができました。

導入プロジェクトに関してはかなりスムーズに行われ、NCS&Aのサポートのもと、「REVERSE PLANET」の平均的な納期である3~4ヶ月の半分強で導入ができました。楽天グループはスピードを重視していますが、導入プロジェクトのスピードに関しても、十分に納得が行くものでした。

── 現在、「REVERSE PLANET」をどのようにお使いですか。

移行プロジェクトにおいては、不要資産の洗い出しを行い、オープン環境への移行対象資産の絞り込みに活用しました。20年以上の蓄積があるプログラムの中には、かつて新サービスとして登場したものの現在では稼働していないものもあります。そうしたプログラム自体は削除しておらず、ジョブは登録から削除してありますが、ライブラリーには残っている状態が続いていました。検索するとそうしたプログラムが結果に出てきて、知っている人が見れば、動いていないことがわかるという状態でした。今回の導入によって、稼働状況が見えるようになりましたので、稼働していないプログラムを削除できるようになりました。また、ジョブは一続きになっていますので、そこを止めて本当に他に影響がないのかを見なければなりません。本当に終端なのかをツールで一元的に検索できるようになりましたので、それを本当に止めていいという確証として利用できるようになりました。

今回の移行プロジェクトでは、言語の変換を行いましたが、不要資産を正しく管理できていなければ、不要なデータまで変換して移行しなければなりません。「REVERSE PLANET」を使ってのクレンジングで全体の約3割のプログラムを削除することができましたので、スリムな状態での移行を実現することができました。

また、導入当初は資産整理、棚卸を担当する20名程度での利用を想定していました。ところが、使い始めたところ、利便性の高さから保守開発時の調査、障害時の切り分けなどの利用が普及し、導入から数ヶ月で利用者が100名超にまで増え、契約ライセンス数を増やしました。現在では標準的な開発ツールとして定着しています。

「導入から数ヶ月で利用者が100名超にまで増えました」と田中涼介様

資産管理はもちろん、開発ツールとして定着

── 「REVERSE PLANET」の導入効果について教えてください。

(1)情報収集における時間短縮・調査工数の削減
導入前は、バッチの前後関係、バッチ処理のソースコード・使用ファイルなどの情報が点在していたため、設計並びに障害対応を行う際、かなりの時間を要していました。現在では、「REVERSE PLANET」という1つのツールに上記情報が集約されていますので、情報収集に対する時間短縮・調査工数の削減につながっています。統計は取っていませんが、感覚的には半分程度になったのではないでしょうか。また、ツール上の情報と他の情報との関連付け(ジョブネット図からジョブグループ図など)がされており、UIでの簡易操作で関連した情報を開けるため、この点でも情報収集の時間短縮、効率化が図れています。

(2)開発ツールとして定着
上記の開発における調査での使用に加え、例えばレビュアーも「REVERSE PLANET」で関連の調査を行なっていますが、調査の信頼性が上がったことで、レビュアーや有識者の時間の効率化にもつながっています。
さらに資産登録をすることで、データを一元管理できますから、複数の開発者が共通の情報を共有できるため、関連性などの検索が統一されて効率化につながっています。
また、以前はホスト側の知識を持っていてホストが使えないと、ホスト側の調査はできませんでした。現在ではツールでUI上から検索がかけられますので、スキルによらずにいろいろな人が担当できることも大きな効果です。極端な言い方になりますが、Webエンジニアが異動してきてもすぐに調査を実施することができると思います。

── 「REVERSE PLANET」の今後の使い方についてお教えください。

2016年11月にはオープン版の「REVERSE PLANET」の導入をすませており、開発、資産管理で活用しています。2017年7月に稼働した現在の基幹システムにおいても、いままでと同様の使い方をしています。
今後も、資産管理ツールとして活用していきますが、全領域に対象を広げてゆくべく検討しています。

また、利用者のニーズ調査を実施しましたので、今後、「REVERSE PLANET」の機能のカスタマイズについて要望をまとめているところです。

「情報収集については、感覚的には半分程度の時間・工数になりました」と津端裕貴様

さらなるカスタマイズ、そして今後の提案に期待

── 「REVERSE PLANET」並びにNCS&Aへのリクエスト・期待がありましたらお聞かせください。

まずはいまお話ししたカスタマイズに関してのサポートをお願いしたいと思います。そちらの希望に入るかもしれませんが、当社が調査し保有している情報と「REVERSE PLANET」がリンクできるようになるといいと考えています。ツールを起点に各種情報へアクセスしやすくなりますし、最新のテストにおけるコードカバレッジの情報、バージョン管理システムの改修履歴情報、ジョブと日次の実行時間、バッチプログラムとアベンド回数などがつながれば、より使い勝手が向上するのではないでしょうか。

今回の基幹システムの更改にあたっては、システム単体としての品質は担保できたと考えており、今回のプロジェクトは成功した段階にあると考えています。その中で「REVERSE PLANET」が果たした役割には大きなものがあったと思います。まだ、周辺システムまで含めて万全かといえば、資産管理などがきちんとできていない部分もあり、それに対して今後はアプローチしていきたいと考えていますので、NCS&Aのご協力、ご提案に期待しています。

楽天カード様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


※「REVERSE PLANET®」はNCS&A株式会社の登録商標です。

◎楽天カード株式会社
 設立/2001年12月6日
 本社/東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
 サービスサイト https://www.rakuten-card.co.jp
※ 取材日時 2017年11月
※ 取材制作:カスタマワイズ

 

 

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